
「Railway Signallingアドオン」は、CANoeテストツールを拡張し、デジタル鉄道信号で使用される2つの通信プロトコルであるSCI-XXおよびRaSTAのインターフェイスを追加します。このアドオンにより、システム内のSCI-XX/RaSTAインターフェイスのシミュレーション、解析、自動テストが可能になります。さらにCANoeを使用することで、鉄道信号システムを構成する個々の要素から大規模なネットワークに至るまで、効率的な妥当性確認および検証を実現できます。
特長
- 開発と統合のリスクを軽減:実際のインフラストラクチャが利用可能になる前から、EULYNXおよびNeuProインターフェイス向けのオブジェクトコントローラー、現場機器、連動装置、隣接システムのリアルなシミュレーションを利用
- 現実的な条件下でテスト:シミュレーションを実際のSCI/RaSTAネットワークにシームレスに統合し、実コンポーネントと仮想コンポーネントの間で一貫したインタラクションを実現
- 通信に関する完全な透明性:実際のパーティシパントとシミュレーションパーティシパントの両方からのすべてのテレグラムとメッセージを完全に監視、追跡、解析
- システムの堅牢性と安全性を向上:エッジケースやエラー状態に的を絞って解析し、制御されたエラーインジェクションを通じて最適/最悪条件下での挙動の妥当性を確認
- 各プロジェクトフェーズに合わせてテストを柔軟にカスタマイズ:単純な機能テストから、鉄道信号における複雑でリアルなエンドツーエンドのシナリオに至る全体で、より効率的なテストと迅速なプロジェクトフィードバックが可能
適用分野
- 探索的テスト:CANoe Railway Signallingアドオンは、テスト対象システムとの通信を確立します。コードを数行記述するだけで、標準規格に準拠したSCIテレグラムやRaSTAメッセージを送信し、受信データを解析できます。テスト用ハードウェアを追加して組み合わせれば、システムの各種ネットワークインターフェイスだけでなく、アナログ、デジタル、シリアルインターフェイスを時間同期させて刺激および解析し、開発の早い段階でエラーを検出することができます。
- コンフォーマンステスト:Railway Signallingアドオンにより、SCI、SDI、SMIインターフェイスのテストの際に、PDI、BTP、RaSTA、OPC UAの各プロトコルを包括的にテストできるようになります。これにはアプリケーションデータの送信や、テスト対象システムからの応答解析が含まれます。CANoeはその他の通信プロトコルを幅広くサポートしているため、デバッグインターフェイスの実装も容易で、通常では実現できないテストケースの実装も可能です。
- セキュリティテスト:CANoeにはファジングテストやペネトレーションテストの機能が含まれており、高いセキュリティ基準を満たす必要のあるコンポーネントのテストに使用できます。また、CANoeはTLS暗号化のテストを簡素化します。
- 結合テスト:CANoeでのシミュレーションはスケーラビリティが高いため、鉄道の駅や長い線路区間などの大規模ネットワークにおけるでの複数のコンポーネントの結合テストが可能になります。また、CANoeは他のさまざまなプロトコルやI/Oをサポートするため、SCIやRaSTAだけでなく、あらゆるパーティシパントのすべてのインターフェイスを刺激および解析できます。
- End-Of-Lineテストと受入れテスト:完成した個々のコンポーネントは、CANoeで包括的にテストできます。環境シミュレーション、テストケース、テスト対象システムへのハードウェアアクセスを一つのツールで実装できるため、すべてのインターフェイスの自動テストを省力化できます。
機能
CANoeには、シミュレーション、刺激、解析、およびテストのための膨大な数の標準機能があらかじめ含まれています。さらに、Railway Signallingアドオンには、以下の機能が追加されています。
- CANoeは、PDI(EULYNX、Baseline 4 Release 3)およびBTP(NeuPro、Release 3 Version 3)アプリケーションレイヤーをサポートし、SCI-XXプロトコルスタックに基づくアプリケーションをシミュレーション、解析、テスト。これには、NeuProサブシステムのインターフェイスとEULYNXインターフェイスのSCIコネクションのハンドシェイクに加え、EULYNXインターフェイスのSCI-P、SCI-LS、SCI-LC、SCI-TDS、SCI-IO、SCI-LX、SCI-ILS、SCI-RBCで定義されているテレグラムのデータモデルを含む
- 統合されたRaSTAプロトコル(DIN VDE V 0831-200)がUDP、TCP、TLS(バージョン1.2および1.3)に基づき、複数のトランスポートチャンネルをサポート
- すべての送受信SCIテレグラム、RaSTAメッセージ、Ethernetフレームを監視し、SCIおよびRaSTAスタックの状態パラメータを把握
- 網羅的な要件仕様に従ってテストの設計と実装を簡素化する、既成のテストフレームワークを使用し、RaSTAプロトコルレイヤーを詳細にテスト
- アプリケーション(PDIおよびBTP)レイヤーとRaSTAレイヤーにエラーを注入し、包括的なコンフォーマンステストを実施
- RaSTAまたはSCIに基づくユーザー定義のアプリケーションレイヤーを手軽に実装
- OPC UAサーバーとクライアントのシミュレーションにより、EULYNXやNeuProシステムのSDI/SMIインターフェイスなどで、それぞれの対向機器をテスト
早期テスト:ユースケース例


コンプライアンスと相互運用性を確保するには、開発プロセスの早い段階でテストを開始することが極めて重要です。このテストは通常、CANoeテストツールによるシミュレーションと、それに反応するSUT(テスト対象システム)からの応答の解析によって行われます。
たとえば、転轍機用のオブジェクトコントローラーをテストするには、CANoeで連動装置とポイントマシンをシミュレーションします。SCI IDやRaSTA IDなどの連動装置用の設定パラメータと、ポイントマシンのデジタルI/Oはテストツール内で指定します。次に、CANoeはシミュレーションされた連動装置から対応するSCIテレグラムを送信し、オブジェクトコントローラーの応答を検証します。関係するパーティシパント、すなわちSUTの環境をシミュレーションすることにより、実際の通信相手を必要とすることなく、両方のインターフェイスに対するオブジェクトコントローラーの正しい挙動を検証できます。
さらに、このテストは仮想化されたオブジェクトコントローラーのソフトウェア上でも実施できます。この場合、ハードウェアは一切不要となり、早期テストに伴うコストと工数を大幅に削減できます。
CANoeのあらゆる利点を活用
ベクターは、システムレベルのテストにおいて長年の経験を蓄積し、その専門知識を生かして、鉄道業界での複雑なネットワークやその個別のシステムの開発をサポートしています。そのため、EULYNXおよびNeuProに準拠したSCI-XX/RaSTAインターフェイスを解析、シミュレーション、テストするための、CANoe用のRailway Signallingアドオンを開発しました。
CANoeは、仮想環境および実環境での自動テストを簡素化します。幅広いソフトウェアおよびハードウェアインターフェイスにより、あらゆるSUTとのデータ交換が可能です。VT SystemとVIO Systemはアナログ、デジタル、シリアルI/Oを介したデータ交換を処理します。また、ベクターのVNインターフェイスはSUTとのネットワーク通信を可能にします。これによって、EtherCAT、MQTT、CAN、CANopen、SPI、I2Cなどの多彩なインターフェイスをテストできます。
仮想環境でのテスト、すなわちSIL (Software-in-the-Loop)テストでは、SIL Kitを使用してテスト対象ソフトウェアとデータ交換を行うことができます。CANoeには、解析やSUTとの簡単なインタラクションを目的として、あらかじめ構築されたグラフィックWindowが用意されています。また、ユーザー自身のユースケースに合わせてユーザー定義のパネルを作成することも可能です。
vTESTstudio内のテストケースをALMツールで管理されている要件とリンクすれば、明確なトレーサビリティを実現できます。CI環境でテストケースを実行すれば、さらに高度な自動化を実現できます。



